旅の記録として写真を撮る。
そういうときに、意外に盲点となるのが、ホテルの部屋からの眺めではないか。
観光で訪れた場所の写真は、カメラを携えている限り、たぶんそこそこの枚数を撮ると思う。
だが、ホテルの部屋から見える町の景色は、そんなにも撮らない。
もちろん、眺望を理由にホテルやホテルの部屋を選んだ場合は別だろうけど。
観光地もいいのだけれど、その土地に滞在中、いちばん親しく付き合ったのは、ホテルから見える何の変哲もない町の景色だったりする。
あるとき、こういうことに気が付いて、泊まった部屋からの眺めを意識して撮るようになった。
いつも安い部屋に泊まるので、第三者が見て楽しめるような写真には、まずならない。
だが、これらの写真を後で見返すと、そのとき嗅いだ町の匂いが鼻孔の奥に甦るような気がするのだ。

