町を歩いているときに何が気になるかというと、元来の自分の興味対象以外に、人が眺めているものというふうに相場は決まっているようだ。
自分などは生まれついての変わり者だから、カメラをぶら下げていても変なものしか撮らないのだが、人間のそういう習性のおかげで、たまに困ってしまうことがある。
たとえば、先日、富山県に祭を見物に行ったとき、祭の行列よりも格子窓から透けて見える一般家庭の宴の様子に興味がわき、その格子窓の方へカメラを向けていたのだった。
私としてはごくごく個人的な趣味の世界に没頭していたわけだが、そうやってシャッターチャンスを狙っている私の姿を見かけた見物人たちが、
「こうやってカメラを構えている男がいるということは、このレンズの先に何か面白いものがあるに違いない」
みたいな感じで、私が撮ろうとしている格子窓にへばりつくように、好奇心も旺盛に中を覗き込み始めたのだった。
当然、シャッターチャンスはお預けになるし、大勢の見知らぬ他人が家の中を覗き込むということは、その家の人にも迷惑なことこの上ない。
とはいうものの、私自身も勝手に他人様の家の様子を撮ろうとしていたわけで、一方的にその人々を責めるわけにもいかないし、「こら、どかんかい」と大きな声でお願いするわけにもいかないのだった。
だから余計に困ってしまった。
とはいえ、このときはまだマシといえばマシな方だと言える。
雪の上についたカラスの足跡や、資源ゴミ袋の内容物なんかを撮っているところを通行人に見つかると、たまったものではない。
最初は、何だ、何だ、とばかりに被写体に興味を示すのだけれど、ものの数秒も経たないうちに、不審者を見るような目で私に一瞥をくれ、逃げるように去って行く。

